この記事で分かること
- 書類は「申請時」「交付決定前」「実績報告時」の3回求められること
- 法人と個人事業主で提出物が分かれる箇所と、複数制度に共通して必要になる書類
- GビズIDや事業支援計画書など、先に動かないと間に合わないものの所要日数
補助金の書類は3回求められる
補助金の必要書類を調べると、たいてい「申請に必要な書類」の一覧が出てきます。ただし書類の提出はそこで終わりません。
小規模事業者持続化補助金の手続きを追うと、書類が求められるタイミングは3回あります。
| タイミング | 何を出すか | 出さないとどうなるか |
|---|---|---|
| ①申請時 | 事業計画、決算書または確定申告書、事業支援計画書など | 必要な提出書類がすべて提出されていない場合は不採択 |
| ②採択後〜交付決定前 | すべての経費の見積書(相見積を含む) | 交付決定が下りず、事業を始められない |
| ③実績報告時 | 実績報告書と支出ごとの証拠書類 | 証拠書類が出せない経費は補助対象と認められない |
①だけ準備して安心してしまうと、②③で慌てることになります。とくに③は補助金額の確定に直結し、不備が続けば補助金額が減額または0円になる場合があると明記されています。
出典:小規模事業者持続化補助金 ガイドブック 第3版(PDF)
なお補助金は後払いで、実績報告のあとに額の確定・請求・入金と続きます。全体の時間感覚は補助金はいつもらえる?入金までの期間を実例で解説で整理しています。
①申請時に出す書類
以下の一覧は第19回公募のガイドブックに掲載されたものです。第20回のガイドブックは公開準備中のため、第20回で申請する場合は必ず第20回公募要領 第8版のP.26〜31で最新の一覧を確認してください。
小規模事業者持続化補助金の「応募時提出資料一覧」を例に見ていきます。制度によって様式番号は違いますが、求められる書類の性格は共通しています。
全員が必要なもの
- 申請書(様式1)、経営計画兼補助事業計画①(様式2)、補助事業計画②(様式3)、補助金交付申請書(様式5)、宣誓・同意書(様式6) → これらは電子申請システムに直接入力する形式で、ファイル添付は不要です
- 事業支援計画書(様式4) → 地域の商工会・商工会議所が発行します。自社では作れません
法人・個人事業主・NPOで分かれるもの
| 書類 | 法人 | 個人事業主 | NPO法人 |
|---|---|---|---|
| 貸借対照表および損益計算書(直近1期分)[写し] | ○ | — | — |
| 直近の確定申告書【第一表、第二表、収支内訳書(1・2面)】または【第一表、第二表、所得税青色申告決算書(1〜4面)】 | — | ○ | — |
| 現在事項全部証明書または履歴事項全部証明書(提出日から3か月以内の日付のもの)[原本] | ○※ | — | ○ |
| 貸借対照表・活動計算書+法人税確定申告書(別表一・別表四) | — | — | ○ |
※法人は、決算期を一度も迎えていない場合のみ提出。個人事業主で決算期を迎えていない場合は開業届と売上台帳等に置き換わります。
ここが法人と個人事業主で最も分かれる部分です。法人は登記に関する証明書(登記事項証明書)と決算書、個人事業主は確定申告書一式、という対応関係になります。登記事項証明書は「提出日から3か月以内の日付」「原本」という条件が付くため、古い控えは使えません。
特例・加点を狙うときだけ必要なもの
| 希望する項目 | 追加で必要な書類 |
|---|---|
| インボイス特例 | 適格請求書発行事業者の登録通知書(e-Taxで手続中なら登録申請データの「受信通知」) |
| 賃金引上げ特例・賃上げ加点 | 直近1か月の賃金台帳(役員・専従者を除く全従業員分)、雇用条件(1日の所定労働時間、年間休日)が記載された書類(雇用契約書、労働条件通知書等) |
| 賃金引上げ特例のうち赤字事業者(法人) | 直近1期に税務署へ提出した法人税申告書 別表一・別表四 |
| 事業承継加点 | 事業承継診断票(様式10)、代表者の生年月日が確認できる公的書類、後継者候補の実在確認書類 |
| 小規模事業者卒業加点 | 労働基準法に基づく最新の労働者名簿 |
出典:小規模事業者持続化補助金 ガイドブック 第3版 P.8(PDF)
従業員に関する書類は他制度でも登場します。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金では、応募申請時に労働者名簿を提出することとされ、参考様式が公開されています。金融機関等から資金提供を受ける場合は「金融機関による確認書」、リース会社と共同申請する場合は「リース取引に係る宣誓書」も必要です。 出典:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 資料ダウンロード
②採択後、交付決定前に出す見積書
見落とされやすいのがここです。採択されてすぐ発注できるわけではありません。
持続化補助金では、採択発表後から交付決定までの間に、計上したすべての経費について価格の妥当性を証明できる見積書等(相見積を含む)を提出する必要があります。第20回公募要領では、発注総額(1件あたり)が50万円超(税込)の場合に2者以上からの見積が求められます。中古品の購入は金額にかかわらず全て2者以上の見積が必須で、理由書による随意契約は認められません。
注意したいのは、この基準額が公募回によって変わることです。第19回のガイドブックには「100万円(税込)を超える支払いは、2者以上の見積が必要」と記載されています。金額のラインは必ず自分が申請する回の公募要領で確認してください。
出典:第20回公募要領 第8版(PDF)/ガイドブック 第3版(PDF)
③実績報告時に出す証拠書類
補助事業が終わったら、実績報告書と一緒に支出ごとの証拠書類を提出します。ガイドブックは証拠書類を次のように定義しています。
証拠書類とは、見積書、発注書、契約書、納品書、請求書、領収書、預金通帳の該当部分の写し等のことです。各費目ごとに必要な証拠書類が異なりますが、証拠書類の提出ができないものは、補助対象経費として認められません。
つまり、事業を進めている最中から書類を捨てずに残しておく必要があります。振込の記録が必要なので、通帳やネットバンキングの明細も対象です。
賃金引上げ特例を使う場合は、実績報告時にも補助事業実施期限日を終点とした12か月分の賃金台帳と、賃金引上げ後の雇用条件が分かる書類の提出が求められます。申請時に出した1か月分とは別物です。
出典:ガイドブック 第3版 P.12(PDF)/第20回公募要領 第8版 P.10〜11(PDF)
先に着手しないと間に合わないもの
書類の中には、申請直前に用意しようとしても物理的に間に合わないものがあります。
| 準備するもの | 公表されている所要期間・期限 |
|---|---|
| GビズIDプライム(行政サービス共通のログイン用アカウント) | 持続化補助金:「アカウントの取得には数週間程度を要します」/デジタル化・AI導入補助金2026:「発行までの期間は、おおむね2週間」 |
| SECURITY ACTION宣言(デジタル化・AI導入補助金2026の交付申請要件) | 「宣言済アカウントID発行までの期間は、おおむね2〜3日」 |
| 事業支援計画書(様式4) | 持続化補助金 第20回は2026年12月4日が発行受付締切。申請締切(2026年12月15日)の11日前 |
| 登記事項証明書 | 提出日から3か月以内の日付・原本という条件付き |
事業支援計画書は自社では作成できず、商工会・商工会議所に発行してもらうものです。公募要領には受付締切以降の発行依頼は「いかなる理由があってもできません」と明記されています。しかも社外の代理人だけで相談や発行依頼をすることはできず、事業者自身が窓口に出向く必要があります。
GビズIDについても、持続化補助金の事務局は「未取得の方はお早めに利用登録を行ってください」と繰り返し案内しています。
出典:商工会議所地区事務局 応募する/デジタル化・AI導入補助金2026 申請を行う前に必要な手続き/第20回公募要領 第8版(PDF)
複数の制度に共通する5つの柱
制度ごとに様式は違いますが、公募要領を突き合わせると求められる書類の性格は次の5つに集約されます。初めての申請なら、この5つを先に手元で確認しておくと動きが速くなります。
- 電子申請アカウント:GビズIDプライム。ほぼすべての国の補助金で必要
- 決算・所得を示す書類:法人は決算書、個人事業主は確定申告書
- 従業員に関する書類:労働者名簿、賃金台帳、雇用条件が分かる書類
- 見積書:交付決定前に価格の妥当性を証明するもの
- 支払いの証拠書類:請求書、領収書、通帳の写しなど
一方で、書類の点数や様式番号、相見積の基準額、事業支援計画書の要否は制度と公募回によって変わります。厚生労働省の雇用関係助成金になるとさらに枠組みが違うので、そもそもどちらを見るべきかは補助金と助成金の違いを参考にしてください。
必要書類の最終的な確認先は、その制度・その公募回の公募要領です。申請要領のうち「申請に必要な書類」の章と、ファイル名の指定まで目を通してください。どの書類が自社に必要かの判断は公募要領をご確認のうえ、必要に応じて商工会・商工会議所や専門家にご相談ください。
この記事は2026年8月11日時点の情報です。最新の公募状況は公式サイトでご確認ください。